ケニア旅行記U
(2010年8月6日〜2010年8月14日)
★ 3日目 ★
ナイロビの朝は眠い。 いつも眠いんで東京の朝も眠かった。 本日はマサイマラに移動して本格的なサファリがスタートする日。そんな朝を迎えて、じゃあまずは腹ごしらえ。 なぜかパナフリックホテルの同じレストランで同じ食い放題なのにバッフェだとたくさん遠慮なく食えてしまう自分が憎い。憎いほどかわいい。またご自愛しちまったぜ。 この日もナンガがホテルから国内線のウィルソン空港まで送迎してくれた。ありがとうナンガ、ここでさらばじゃ。 |
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ウィルソン空港からサファリリンクの国内線に乗る。チケットは黄色いこのラミネート加工の使い古し。チェックイン時に渡され、搭乗時に回収される。見ての通り便名など書いてはいない。搭乗時間になると飛行機の前で、 黄色組さ〜ん、集まれ!!! とか言われて点呼をとられてから、各自勝手に飛行機に乗り込む。座席指定なんかないから早いもん勝ちだ。飛行機と言っても12人乗りなんで醜い争いなどせず和気あいあいが望ましそうだ。 |
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そしてフライト。操縦士が客席に顔を向けて生声で welcome aboard 〜〜〜♪ とか言いながら機体を振るわせる。 バルーンサファリをケチったぶん、このフライトでバルーンサファリ気分を無理からに味わうのだ。 と、思ったが機内の狭さに嫌な予感がした。操縦桿を奪うこともそう難しくなさそうなのだ。 |
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そう思ったら、他の乗客が奪うかもと不安になってくる。機内では必死にケニアの大地に目を凝らそうと思ってたのに、他の乗客のハイジャック防止のためケニアの大地を望むこともままならなくなるなんて・・・。 もちろんそんなことはなく、機体は無事にバウンドするようにエアストリップに到着した。空港じゃなくて、草原の中の砂利道、そこが滑走路なのだ。 そんな滑走路、囲いがないので動物がいたっておかしくない。イボイノシシ程度なら爆音で逃げるだろう。歩みの鈍いバッファローはヤバいんじゃねえ。いやいや、ヌーが死してそこにハイエナ、ハゲワシなどが死に物狂いなお食事会を催していたらいったい飛行機は・・・。 そして降機。だだっぴろい大草原の中、画像が唯一の建造物。機長は荷物と人間を降ろすと別れを惜しむ様子もなく、帰りの便のチケットはないから時間に来てね、そんな捨てゼリフを残し去っていく。 |
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たたずむ夫婦。 そんな機長に代わり、ロッジのお迎えの人が「ジャンボ!」とか言いながら近づいてきた。草原の中、周囲に緊張の目を走らせ続ける夫婦。もうこの人が詐欺師でも頼らざるを得ない状況だったりする。 |
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そして、やっとこロッジに着いた。旅行の「行き」の部分が完成された感じ。しかし、変な緊張感を覚える。誰かさんのケニア旅行記を読んでたら、ロッジのレセプションで「ハネムーン?」と尋ねられ、そう正直に答える白ワインとケーキがプレゼントされたらしいのだ。 「ハネムーン」と答えるだけで白ワインがもらえるんだったら、生活感のある顔を一瞬ハネムーン顔にする努力くらい厭わないのだ。しかし、できればケーキは遠慮したい。前回おすそ分けでもらったケーキが激甘で、ありがたいのにありがたくなかったからだ。でも白ワインがもらえるなら白ワインで流し込む覚悟はできている。 そんな緊張感ある質疑応答は見事なホウレイ線のおかげで回避され、部屋に案内されていく。 |
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これが今回楽しみにしていた部屋だ。そうだ、テントだ。入室はファスナー仕様で鍵はない。誰でも入室可能なんで常にウェルカム状態で閉ざされた心も解放されていく。鍵がないから鍵を失くす心配は無用だ。もちろん窓もファスナー仕様なんでガラスが割れる心配もない。テントと言っても基礎部分はコンクリートでできているんで安心だ。何が安心なのかは不明だが、天井も壁も布素材なので肌触り抜群で頭をぶつけても痛くない。そういう意味では安心だ。 |
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強いて心配事を探してみたら、それはやっぱりそのソフトな布地の向こうには動物様も往来するわけで、ワイルドすぎてビビるんです。 まあそんなテントの中ですが、普通のホテル並みにベッド、シャワー、トイレ、洗面台などの設備は整っているから短時間なら引きこもることも可能だ。 ファスナー全開で外出して戻ってみたら、バブーンがベッドで寝タバコをくゆらせていたとか、イボイノシシが荷物の匂いを嗅ぎまくってたとか、そんな光景も簡単に実現できそうなくらいでした。 そして、テントから数歩出ればそこには手すりがあり、その先には川がある。ワニがいて、カバがいる。ライオンが流されてこないことを願うのみだ。 とは言っても、そんなワイルドすぎる自然環境なんで、24時間槍とライフルを持ったレンジャーさんが見張っていてくれているはずなんです。夜間や早朝などテントから出るときは合図を送ればレンジャーさんが送迎・同伴してくれてうれしいかぎりなんです。 が、夜中窓越しに見たガイドさんのキラリ光る目が一番怖かったことを、この場で白状させてもらいます。仕事熱心なんだな、うんうん。 |
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そして気が付けばまた食っていた。 ガバナーズのレストランのテーブルに着くと、だらだらとしたウェイターが「ランチへようこそ」とか言いながらランチの説明をする。「すぐにスープとパンをお持ちしますから」と言って去って行く。 だらだらとしたウェイター、その名はフランク。嫁はフランクに恋してしまったようだ。 【本日の僕の昼食】 スープ、バッフェ1皿、デザート(プリン)、コーヒー |
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ちなみにこのロッジには囲いがない。ロッジに着いた際、ロッジのスタッフからカバやゾウがよく訪れると説明もされている。冗談顔でライオンも来るかもなんて言いながら死んでも文句を言わない契約書にサインをさせられた。 |
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敷地からは簡単にバブーンやカバ、ワニが、目を凝らせばゾウやヌーの大移動が見渡せる。そして、レストランの庭先にはイボイノシシが現れた。イボイノシシがいれば、それを捕食するライオンが来てもおかしくはない。安易に契約書にサインなんかしなければ良かった。 |
今回初めてのサファリ。ドライバーはロッジ専属ドライバーのサミー。ここまでは思い通りだった。だけど、サファリカーに無線がない。 思ってたのと違う!!! そう思いました。予定では、他車からの情報が無線を通じてバンバン入って来るんじゃなかったのか。 だけど、サファリが始まるとその思いがバカバカしくなるくらいサミーはすごかった。まさに経験値マックスのサファリ職人でした。無線の付いたクルマが1年に1秒しか狂わない時計だとしたら、サミーは1日で5秒遅れても1年後には正確な時間を示す時計のような精密サファリマシーンだったのだ。誉めてるんだけど誉め言葉になっているだろうか。まああとから聞いた話だと、ガバナーズには4台の無線のないサファリカーがあるらしく、サイ、チーター、ヒョウなんか見つけた場合は携帯電話でドライバーにお知らせするシステムがあるそうです。それに無線に情報があったって近くにいなければ意味ないし、何より無線音が四六時中うるさいんで、自然の音を楽しめない、そんな考え方もできるかも。まあ無線があれば安心感はある。 |
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そんなわけで、次から次へとジェットコースター並みのサミーの案内をほぼ画像だけで紹介しよう。サファリカーは悪路をジャンプしながらかっ飛んで進んだわけで、こっちは踏ん張った足と体を支えた腕がパンパンで、サファリの記憶が薄れてしまったのだ(←99%言い訳)。 イボイノシシ以降の動物をひとつひとつ紹介すると、 (一番上)ステキな角をお持ちのインパラの♂ (二番上)V字攻撃中のマサイキリン (三番上)親子のゾウ (一番下)ウォーターバックの♂ |
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で、次にライオンに襲われたシマウマに出会った。 痛々しい姿に「生」を感じる。「死」に直面しながらも逃れられたことが幸せなのか、それとも重傷を負った身体で近い将来ふたたび「死」への恐怖を感じなければならないことが不幸なのか。次の日に生きている可能性はほぼないでしょう。 って言うか、ハイテンション野郎に初日からこんなの見せないで欲しいものだよ、サミー君。 |
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おしりの匂いを嗅ぎ合うバッファロー。嗅がせるとき、嗅ぎやすいように尻尾をビーーーンとしてるのがよろしい。 そんなバッファローのお尻の部分をよく見てたら多数の爪の引っかき傷を発見。たぶん引っかき傷と言うよりもライオンあたりに襲われた爪跡だ。僕の爪なんか自分のお尻をボリボリかいたり、頑固な汚れ除去くらいにしか使わないのに。爪を生きるために武器とするライオンがいて、お尻に僕とは違う引っかき傷のあるバッファローがいる。僕は今後どういった気持ちでお尻をボリボリしたらいいのだろうか。 |
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そんな諸悪の根源みたいな扱いのライオン♀。 6頭のメスが一緒にお昼寝してるところをお邪魔していたら、そのうちの1頭がむくっと頭を上げた。 そんなかわいい顔するんじゃねえよ!!! もっとかわいい寝姿を見たい人はブログへGO! 今さっき、傷を負ったシマウマとかき傷ぼりぼりのバッファローに会ってきたばかりで、そんなに簡単に感情移入を180度変えられねえじゃねえか。 次は、トムソンガゼル。トムソンガゼルのまくらことばは「チーターの大好物」。 |
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いつも尻尾をフリフリしてかわいいやつだ。サバンナにたくさんいる動物と言えば、一位ヌー、二位シマウマ、三位がトムソンガゼルといったところかな。日本人の名字的に言えば佐藤、鈴木、高橋の高橋さん的な扱い。 |
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サファリカーは川に差し掛かりました。 カバ発見。個人的にはカラダ全体より、目のあたりだけ見えてるほうが好きなんでこんな中途半端な写真。 近くにはワニ。動きが少ないだけにサービス精神皆無。 |
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で、このマサイマラで今回最も多かった動物、トピ。第九位の吉田さんの部落に迷い込んだ感じ。 |
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こんな具合で、日は暮れて、初日のサファリは終了したのでした。今日一番印象に残ったもの、それは思い出したくもない光景でした。 夕方のサファリは15時半から18時。夕食は20時から。この2時間で今日の片づけをし、シャワーを浴び、明日の準備を整える。長いようで、そんなに余裕のない時間。夕食後は温度も下がり、部屋も暗くなるから、結構忙しいのだ。 |
20時、テントから懐中電灯を振ってレンジャーさんを呼ぶ。レンジャーさんはライトを前方に、側面に、後方に当てながら無事に僕たちをレストランに導いてくれる。ガッチリしたレンジャーさんは安心できる存在だ。 しかし、ここで安心できない野郎が登場する。 ディナーへようこそ! テーブルに着くと、ウェイターが来て本日のメニューの説明をしてくれた。のろまのフランクだ。ランチ時に思い込んだ通り、フランクはいじめられっこ風だ。他のスタッフにいじられ、大変なテーブルばかり任されている。なんかいつも大汗をかいてる感じだ。のろまなんで大汗なんかかくほど機敏な動きはできないはずだ。しかし、フランクの歩調は早い。足が長いんでめちゃくちゃ早い、でもやっぱりそれ以外は遅い。結果的に食事が間延びしてしまうテーブル。フランクの挙動を気にしすぎる僕。フランクを愛しちまった嫁は言う、普段ゆっくり話す時間ないんだからいいじゃないと。 |
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【本日の僕の夕食】 スープ、サラダ、メインはラム(写真上、写真下は嫁のテラピア)、チョコレートケーキ、コーヒー |
【本日お見かけした動物】 |
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バブーン、マングース、ライオン、アフリカゾウ、グラントシマウマ、カバ、イボイノシシ、マサイキリン、ウォーターバック、トピ、インパラ、トムソンガゼル、バッファロー、ワニ、ダチョウ、アフリカハゲコウ、ハゲワシ、あと記憶から漏れたもの。 |
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